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ルネサンスのセレブたち

1年以上
The_Gallery_of_Cornelis_van_der_Geest
1628年にコルネリス・ファン・デル・ヘースト ( Cornelis van der Geest ) が描いた「収集室」。コレクションとは、買っても買っても満たされずに買い続ける人によって形成されるのです。 ( Antwerp, Rubenshuis )



数日前にヴェローナでの盗難事件を記事にしました。
先日は、銀行が所有している芸術品の公開サイトについて触れました。
どちらも、美術品を切望した人々が存在したゆえの事象であります。。
切望する理由が、美術品への愛なのか投資なのかという疑問は、古代の遺品の売買がはじまったころから存在していたようです。

とくに古代ギリシアやローマの文化が見直されたルネサンスの時代から現代にいたるまで、古代の遺品の売買にはかなりいかがわしい人も登場しました。
アンティークの売買に携わるには、当然目利きでなくてはかなわず、ゆえに本業は芸術家であった人もおります。

考古学雑誌『ARCHEO』のコレクション大特集からの記事です。 続きを読む
1年以上
tintoretto senatore
ティントレット作『ヴェネツィアの元老院議員の肖像』。イタリアの銀行の美術コレクションには、いまだに日の目を見ていない作品がてんこもりなのです。



ヴェローナの絵画盗難事件は、その後どうなったのか私は今週は忙しくて新聞も開いておりません。

ラ・レプッブリカの美術欄を今朝開いたら、銀行が保管している絵画や美術品が閲覧できるようになったのだそうです。
銀行の金庫に、そんな芸術品を隠しておかないでどんどん公の場で見せてくれればいいのに、なかなか展示会にも登場しないのですね。

そのためイタリア銀行協会 ( 通称 Abi: Associazione Bancaria Italiana ) とイタリア文化財・文化活動省となぜかヴァティカン美術館館長の協力で、こうした隠れた名品をコンピュータで見ることができるようになったそうです。

そのサイト上の美術館の名前は「MuVir」。「Museo Virtuale」つまりヴァーチャル美術館というわけです。
本当に美術を愛する人がこの美術館の意図に賛成するのか私は疑問に思うのですが、銀行がどれだけお宝を隠し持っているかを知るには面白いサイトかもしれません。

ラ・レプッブリカ紙からのニュースです。


リッピ、カラヴァッジョ、カノーヴァ、ティントレットなどの天才たちの作品、30万点以上をオンラインで鑑賞できるようになりました。これらの絵画の総額がいくらになるのかは、銀行家たちにも推測不能だそうです。

公の場で多くの人々に鑑賞されるべき価値ある作品が、銀行の奥深くに保管されて誰の目にも触れられることなく眠っています。
その数は膨大なもので、その存在を世に知らしめるべきとの意図でイタリア銀行協会はヴァーチャル美術館「Muvir」を開設しました。
というわけで、コンピュータのスイッチを入れて、クリックするだけで銀行や金融業界が所有する30万点の作品を鑑賞できるようになりました。
この意義ある美術館の開設を企画したのは、イタリア銀行協会会長アントニオ・パトゥエッリ ( Antonio Patuelli ) 、文化財・文化活動省大臣ダーリオ・フランチェスキーニ ( Dario Francheschini ) 、ヴァティカン美術館館長アントニオ・パオルッチ ( Antonio Paolucci ) であります。

美術品と最新テクノロジーの融合の結晶であるこの企画は、銀行が所有する膨大な数の大小さまざまな美術品を、イタリアにとどまらず世界中の人々と共有するという目的で生まれました。作品を鑑賞し、その作品にまつわる歴史、作者についても知ることができます。
イタリア銀行協会会長パトゥエッリの言。
「このヴァーチャル美術館は、アルティエーリ宮殿 ( Palazzo Altieri ) で利用可能です ( cucciola注:私はどのコンピュータからも閲覧可能だと誤解しておりました ) 。学生、研究者、大学関係者、また美術愛好者も、それぞれの調査研究に役立てることができるでしょう」。
ヴァーチャルなのですから、訪問する人の趣向やテーマによって30万点の中から自分だけの鑑賞コースを作ることができるのだそうです。
会長はさらに
「国家の財産ともいうべき美術品が銀行には数多く保管されています。Muvirによって、今まで知られていなかった作品が世界で共有できるようになるのです」
と語っています。


allori
アレッサンドロ・アッローリ ( Alessandro Allori ) 作『受胎告知』。1591年。


銀行のコレクションは、収集をはじめた人物の趣味やその時代の流行、それぞれの地域の特徴を反映しており、数が多いうえその性質もおのおの異なります。
それらをコンピュータ上とはいえともに見ることができるわけで、フィリッポ・リッピ ( Filippo Lippi ) 、ペルジーノ ( Perugino ) 、カラヴァッジョ ( Caravaggio ) 、ティントレット ( Tintoretto ) 、アイエツ ( Hayez ) 、カノーヴァ ( Canova ) 、ボッチョーニ ( Boccioni ) 、アンディ・ウォーホール ( Andu Warhol ) など、普段は絶対に一堂に会することがない作品を、自分の好みに応じてみることができるのです。

ヴァティカン美術館館長パオルッチはこのように述べています。
「今まで、一度もわれわれの眼に触れられてこなかった作品は数え切れないほど存在します。イタリアの歴史ある銀行が、何世紀にもわたって収集してきた作品を本日から目にすることができるのです。審美眼と洗練をもつイタリアの銀行のコレクションに感謝をしましょう」。

文化財・文化活動省大臣のフランチェスキーニの談話です。
「イタリアの歴史では、銀行業と芸術とは切っても切れない深い絆で結ばれてきました。オンライン上で彼らが収集した作品を見れば、各地の銀行がとくに地元の芸術家たちに投資をしてきた事実がわかります。世界の美術館トップテンの中には、ヴァティカン美術館を除いてはイタリアの美術館はランクインをしていません。しかしイタリアには400の公立美術館、4000に及ぶ私立美術館があるのです。さらに、2014年の調査によれば、イタリアの全美術館の総訪問者数は、世界のトップ5の美術館の総訪問者数を超えているのです。イタリアという国をひとつの美術館と考え、イタリア国内の美術館、コレクションは連携を強化していくべきでしょう」。

こちらがその「MuVir」のサイトです。
私はここから作品が見れるのかと思ったら、Abiのあるアルティエーリ宮殿まで行かないいけないんですね。
あまり意味がないかんじ。

それに記事を読んだだけでは、私には具体的にどのように鑑賞するのかさっぱりわかりませんでした。
それになんだか銀行におもねるような記事で、訳していてもいい気分ではなかったのですが、これを研究に役立てる人が出てくるのでしょうか。
銀行さんもしまいこんでおかないで、修復などを兼ねてたまには外に出していただきたいものです。








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1年以上
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盗難後の美術館内の様子。前の記事にのせた作品とさらにドメニコ・ティントレット作『マルコ・パスクアリーーゴの肖像 ( Ritratto di Marco Pasqualigo ) 』 の盗難も明らかになりました。




ここからは追加ニュースです。
ニュースがまた更新されていましたが、捜査によって17作品が盗難被害にあったことが明らかになり、被害額はざっと見積もっても1500万ユーロにのぼるそう。20億円ってことでしょうか?
現在、11月21日22時の時点では、文化財・文化活動省 ( Ministero per i Beni e le Attività Culturali ) も美術遺産保護部隊 ( nucleo tutela patrimonio culturale di Carabinieri ) からもコメントは出ていません。
皮肉なことに盗難の前日、被害にあったこの美術館の作品は、ローマのクィリナーレ美術館 ( Scuderie del Quirinale ) で行われた展覧会の開会式に出品され、美術遺産保護部隊によってヴェローナに戻されたばかりでした。どの作品であったのかは新聞では明らかにされていませんが、同二作品はサラエヴォで行われる予定の展覧会に貸し出される予定であったそうです。

明らかになってきたことによると、犯行時刻は19:30頃。
閉館時間に近かったため、日中は11人いる従業員のうち、残っていたのは会計係の一人と夜間担当のガードマンが一人の計二人のみだったそうです。
まさに絶妙の間隙に行われた犯行で、美術館はまだ開館しているにもかかわらず来館者も職員もほぼ皆無、そして夜間には作動する防犯装置もオフという時間でした。
覆面の武装した男たちは、作品のいくつかは額からはずして巻き、あるものは額のまま盗み出しています。
最初のニュースでは4人いたと伝えられた犯人は、最新版では3人になっています。
彼らはおそらく目くらましのため、美術館のガードマンの車で逃亡、おそらく盗んだ作品とともにどこかに用意した車両で逃走中とのことです。

ヴェローナ市の報道担当ロベルト・ボリス氏 ( Roberto Bolis ) は次のように述べています。
「これはまったくプロの犯行です。犯人たちは一言も現場でしゃべらず、1時間15分ですべての犯行を遂行しました。彼らは美術愛好家などではありません。あきらかに、何者かが作成したリストに忠実に盗み出したのです。3人という数も、ガードマン専用の車に作品と乗り込めることまで計算したからでしょう。
盗まれた作品は大作ですが、美術館にはもっと価値ある作品があるのです。偶然かもしれませんが、犯行を示唆した人の嗜好によるリストかもしれません。いずれにしても、ピサネッロ、マンテーニャ、ベッリーニ、カロートの作品を失ったことについては、言葉がありません。
われわれは、今回の犯行は何者かに委託されたものだと確信しています。盗まれた作品が、堂々とオークションに登場することは絶対にないでしょう。しかし、美術遺産保護部隊の隊員によれば、東欧には非公式に持ち込まれた大作を扱う業者が多数存在するそうです。彼らを通して大作を購入した大富豪の個人の居間に、そうした作品が飾られているのです。今回盗まれた作品が、そうならないことを祈るばかりです。
われわれはこれから、美術館内に48個設置された防犯カメラの調査を行います。カメラに収められた内容は、5日間分保存されますが、犯人たちはこのカメラの存在も熟知していた可能性があります。美術館の外にも設置されたカメラの内容に、われわれは期待をしています」。

今回の事件の責任をとるためか、館長であるパオラ・マリーニ ( Paola Marini ) 女史は館長職から退くことを明らかにしています。20年以上も同館に務めたマリーニ女史の後任は12月5日に発表される予定。
マリーニ館長が明らかにしたところによると、盗まれたティントレットの作品の近くにあったジュリオ・リチーニオ ( Giulio Licinio ) の『サウロの改宗 ( Conversione di Saulo ) 』 にも被害があったそうです。館長によれば、深刻な害ではなく修復は可能とのことですが、犯行グループの残虐性がよくわかります。

トージ市長の談話は前の記事に乗せていますが、さらに追加されていて
「たった一人残っていた会計係によると、犯人たちは会話はまったくしなかったとはいえ、その言動から外国人のようだったと述べています」
として、19:30分という犯行には完璧な時間を犯人たちが知っていたことを繰り返しています。

美術評論家のヴィットーリオ・スガルビ ( Vittorio Sgarbi ) は次のように述べています。
「私は今回の犯行について、イスラムのテロがかかわっていないとは言い切れないと思います。イタリアにとってこれらの美術品を盗み取られるということは、手足や首を切られるのと同じ意味があるからです。美術品は人質みたいなものです。身代金を要求されるか、破壊されるのか。世界に向けてのアピールには最適の犯行です。パリにおけるテロに感化された意見と思われる人も多いでしょうが、私は彼らによるテロという可能性をゼロとは言い切れません。
とにかく、イタリアに数多く起こった美術品の盗難事件の中でももっとも重大事件と断言できます」。




臨時聖年開催が近づき、なんだかローマも緊迫した空気です。
地下鉄も聖年に合わせて毎度おなじみの点検だそうで、大幅な間引き運転となる予定だそう。
今週末は地下鉄には乗りたくないなあ…。



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1年以上
Mantegna,_sacra_famiglia_di_castelvecchio
ヴェローナ市立美術館の顔ともいえるマンテーニャ作「聖女と聖母子」。これらの大作が15点も盗まれました。美術品を狙ったテロ?と時節柄考えてしまうくらいすごい作品ばかり盗まれています。



友人から、またマリでテロだよ、とメッセージがきました。
ラ・レプッブリカニュースを広げたら、第一面にこのニュース。
そしてその隣に、ヴェローナでの絵画の盗難事件があったと伝えられていました。
それも大作ばかりです。

短い記事ですので翻訳しておきます。

続きを読む
1年以上
Crusca1
世界各国にある言語に関する学会でも最も古い歴史をもつクルスカ・アカデミーの紋章。粉をふるう機械がシンボルです。




金曜日の夜に、パリのつらい事件がニュースで流れ、土曜日に出勤した際も地下鉄はがらがらでした。
世界のどこかで戦争が起こっているのは歴史の常とはいえ、テロの残酷さにはいつも胸がふさがる思いになります。いったいいつまでこんなことが続くのだろう、と。人間の死が、その家族や友人に大変な悲しみを与えることは避けられません。しかし、その死が理不尽であったら、悲しみに憎悪が加わるのです。

こういうことが起きるたびに、日本大使館からは「くれぐれも気をつけてください」という旨のメールが届くのですが、具体的になにを気をつけていいのかさっぱりわからず、ニュースに張り付いて無口になっている夫とともになんだかしょんぼりした週末でした。

最近、ニュースを翻訳することがあまりありませんでした。
美術に関するニュースでも、私の興味を引くものがなかったからです。
今日はイル・ジョルナーレ紙からラテン語に関する短いニュースをお届けします。

イタリアには、1585年に設立されたクルスカ・アカデミー ( Accademia della Crusca ) という、正しく美しいイタリア語を守る学会があります。
学会の紋章には小麦のふるいわけ機が描かれていて、純粋なイタリア語のみを守ろうという意味なのでしょう。美しくない言葉はふるいにかけられて除外、というわけです。
モットーはペトラルカの詩から引用されていて、「 Il più bel fior ne coglie ( 最良の精華を集めるべし ) 」とあります。

そのクルスカ・アカデミーの会員であり、イタリアの権威リンチェイ・アカデミー ( Accademia dei Lincei ) の一員でもある文学者ジャン・ルイージ・ベッカーリア ( Gian Luigi Beccaria ) が最近のイタリア語事情について苦言を呈している記事です。
イル・ジョルナーレ紙の記事からどうぞ。
のっけから彼の不満が書かれています。 続きを読む

ルネサンスのセレブたち

作者:cucciola

ルネサンスのセレブたち

歴史・美術・本。ネクラな趣味に生きるローマ在住ジャッポネーゼ

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